前回の記事に続き、Import Collection/インポートコレクションの制作過程と名称の由来について、お伝えいたします。
今回はビーバー仕上げのカシミヤ100%生地を使用したスタンドカラーコート「Void」ボイドについてです。
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改めて、「Import Collection」インポートコレクションは、各商品にモデル名がついていて、インポートの名門生地メーカーの中から生地をお選びいただき、お仕立てするハイラインのコレクションです。
インポートコレクションは、「モデル名がついていること」「生地が選べること」以外に、「意味が込められていること」という裏設定があります。
他のコレクションに全く意味が込められていないというわけではありませんが、インポートコレクションはモデル名の由来も含めて、意味が込められています。
Void/ボイドは、Izabellaがほぼ完成し、リリース前の2021年9月頃から構想を始め、リリースタイミングを見計らって2022年の10月には完成し、リリースいたしました。
Void/ボイドの成り立ち
これまで、ジャケット、パンツ、ワンピースと、レパートリーができてきたので、「次はコートだ」と自然と考えていました。2021年の9月頃から、フラッグシップであるIzabrllaワンピースに合わせられるコートとして、構想を開始しました。デザインは特に悩むこともなく比較的スムーズに進みました。
Voidのパターンができたのが2022年の1月末あたりではあるのですが、パタンナーとの初めの打ち合わせは、まだ暑さの残る時期だったようにも思うし、年末だったようにも思うし、どのタイミングで何をしたのか、すっぽりと記憶が抜け落ちています。笑
当時勤めていた会社で配属されていたプロジェクトが、システム構築やリリースのために毎日のように残業をしたり、度々休日も作業をしたりしていたほど、忙しくしていました。
そのような状況下で、初めの打ち合わせは、某都内の緑が溢れる公園にあるカフェの屋外テラス席で非常に開放的な場所で行ったため、日頃リモートワークでこもりっきりだった私にとっては、YUUGAも仕事の一つではあるものの心が休まる大切な時間でした。
パターンの打ち合わせで、パタンナーが紙で襟の部分を手作りしてきたのが、すごく新鮮だったことを覚えています。パタンナーが自宅でハサミでチョキチョキと襟の形に切ってきたであろう紙を、私の顔まわりに当ててチェックしている姿は、カフェを持って公園でくつろぐ方々から見たら、とてもシュールな光景だったのではないかと思います。笑
アパレル経験がない私は、平面のものがなぜあんなに綺麗に曲線を描いて体にぴったりのものが作れるのだろうかと、その時改めて、不思議というか、面白いなと感じました。
2022年2月26日にトワルチェックを行いました。この日は友人の結婚式があり、結婚式が終わったあとすぐに打ち合わせに行ったことを覚えています。
当時、ちょうどFACTOTUM様とのコラボ企画の発足もあり、パタンナーも同席したため、当時のファクトタム・ラボ・ストアにて打ち合わせと、Voidのトワルチェックもさせていただきました。
トワルチェック当時の写真がこちら。
ベルトをつけたバージョンと、外したバージョン。それから、襟を立てたり寝かせたりして、チェックします。
パタンナーがあらかじめ手作りの紙でチェックした甲斐もあって、襟周りはバッチリで直しなし。
方周りや丈感なども、1stコレクションから一緒にやってきたこともあって直しなしでほぼ完璧でした。
トワルを着用してみて、内側の襟元にあったボタンは、襟を開いた時に見えてしまうのと、そこまで留める必要性もなかったので、減らしたり、裾周りがより大きく広がるように表側のボタンも1つ減らしました。
あと、カフスの部分を少し変更したり、ベルトの長さも変更しました。
ベルトについては、リボン結びをした時に、このくらい長い方がいいなあ。。と手持ちのものを繋げて測ってみたら、結果的に250cmにもなっていました。笑
襟の部分のボタンは、初めは見えないようにマグネットにするか、比翼にしようかと思いましたが、結果的には静かなアクセントとして、表に見えるように本水牛のボタンを選びました。表に見えるボタンは30mm、内ボタンと袖は25mmのボタンと、コートならではの大きめのボタンを使用しています。
生地はM.T.R社のビーバー仕上げのピュアカシミヤを4mもの用尺を使用しています。
(Manifattura Tessile Risaliti/マニファットゥーラ・テッシーレ・リサリーティ)
柔らかな風合いで、美しい光沢感があります。
完成して届いたばかりの写真が残っていました。
2022年10月
▼2022年12月表参道周辺にて撮影
名前の由来は「空所」
Izabella/イザベラのワンピースを中に着ることを前提に作られたこのスタンドカラーコートは、コート単体だと、「空っぽ」になります。そこから着想を得て、空所の意味を持つ「Void」と名付けました。
襟を寝かせて着用することで、Izabrllaの特徴でもある胸元のリボンを見せることができ、エレガントなスタイルになります。
Voidのボタンはウエストあたりまでしかなく、まるで途中かのようにも思えますが、大きく動いた時にIzabellaの大きなフレアスカートをコートの隙間から覗かせ、Izabellaのスカートを締め付けないようになっています。
Voidにはベルトループがないので、ベルトはつけなくても良いです。ざっくりと羽織るだけでも良いし、襟を立たせてベルトを外すと襟元から裾までロングなAラインにもなります。お客様のお好みのスタイルでお楽しみいただけます。
最後に、名前の由来として実はこのデザインの見た目上のもう一つの意味も含まれています。Import Collectionの裏設定である「意味が込められていること」のさらに裏の設定です。これは皆さんのご想像にお任せします。